ブコウスキーと私

~ブコウスキーと過ごした100日

#1 ありえない再会

チャールズブコウスキー

アメリカの作家。

カルト作家と言われている。

ブコウスキー好きにはダメ人間が多いと言われている。

私はチャールズブコウスキーが好きだ。

とてつもなくかわいらしいところと、やさしいところが。
彼のストイックと自堕落の共存が、剥き出しの精神が。

最近仕事がなくて追い詰められた気分になり、ブコウスキーを再読したくなった。
だけど今の私は本を買うか借りるかしなくては読めない。

わたしはブコウスキーの小説を学生時代から愛読しており、以前は殆どの訳書を手に入れ、書棚にコレクションしていた。

その頃、同じくブコウスキー好きの人とただそれだけの理由(=ブコウスキーが好きな人だから)で付き合った。

やはりやつはそうだったのかもしれない、私も。ダメ人間。
だとしたら当然関係はあっけなかった。

やつと付き合って1つ後悔していることは、私のブコウスキーコレクションを奪われたことだ。
ある朝、やつは部屋を出る前に突然「ありがとう」と言い、私の目の前で、コレクションしていた本を全冊ごっそり持ち帰ってしまった。私は、惚れた弱みで笑って許してしまった。

バカだったな。

ブコウスキーなら何で言うだろう。今の私に、あの時の私に。

俺の本のどこがいいんだ、くれちまえ。

図書館で借りろ?
また買えばいい?

……自分で書け。

かけないよ、ブコウスキー。ブログで精いっぱいだよ。

自分を慰めるためという思春期の人の様な理由で、私はこのブログを開設した。ほんの出来心ともいえる。あの頃と同じ衝動的な行為だ。私は何も変わっていなかった、中身は何も、何一つ、最低だ。その考えが、再び自らをせんべい布団の中に追いやった。

「じゃあブログなんかやめちまえ」

私は潜り込んでいたせんべい布団から顔を出してみた。塩味の水に滲む汚れた風景の中に、彼が立っていた。ブコウスキー